デザインスタジオ

授業概要

この授業は大学院修士課程での後期課題で第一課題を8週、第二課題を7週で行う。第一課題は建築家、手嶋保先生による週末住宅課題で1/20 のスケールで詳細まで描かせることで住宅の空間の質、スケール、素材など徹底したリアリティを求める、今回はさらに敷地の広さを生かした庭の設計も考慮する。また第二課題は三浦半島にたつ無人販売所の設計である。第一課題で取得したスケール感、表現力を活かしながら、更にソフト面での提案など、企画・運営までを視野に入れた、総合的な提案課題である。

​課題説明

昨年に引き続き同じ場所での週末住宅とした。テーマは住宅と庭。敷地は鎌倉山の頂上近くにある263 ㎡の更地。ここに20 坪以下(約66 ㎡以下)の週末住宅を設計する。第二課題も昨年同様『無人野菜販売所』。三浦半島に建つ無人販売所は現在様々な様相を呈していますが横の連携がなく、今回はそれらのネットワーク化も含め、現地をリサーチし、野菜販売の企画・運営などにまで配慮した『無人野菜販売所』の提案である。生産者、消費者、テクノロジーなどの関係を解きながら、最小の空間で最大の効果を発揮するための思考が問われる現代的センスが問われる課題となっている。

​作品

《課題 1 》住宅

《課題 2 》無人販売所

総評 柳澤 潤 [准教授]

今回の課題は昨年に引き続き、私が計画中の鎌倉山の敷地を対象として出題した。このコロナ禍にあって、社会は混乱しかつて経験のない、世界が同時にこの困難な状況を共有しているという類稀な状況に我々はいる。個々人が行動を制限された異常事態ではあるのだが、むしろステイホームという状況は住環境の質に関心が高まり、我々設計に携わる者としては、むしろ好機なのかもしれない。また近年珍しくなくなった気候変動による大型台風や夏期の高気温などの異常気象はこれまでの楽観的な住宅のあり方を変えていく。つまるところ我々はあくまで日常をデザインするのであり、その時住宅は人々の生活を守る、様々な意味でシェルターとしての性能が求められるということである。さて今回の課題について見ていこう。結論から言うと今年度は昨年にも増して良くなったし、ここ数年取り組んできたことの手応えを感じた。それぞれの取組も熱心で、中間発表時にほとんどの学生が分からないなりにではあるが1/20の詳細図を提出できた。しかしながら最終的には皆が一定のレベルまでもっていけたのはよかったと思うが、中間発表時に勢いがあっただけに、その後トーンダウンしたように感じたのは私だけだろうか。今後の奮起に期待したい。設計を考えつつも、建築の具体的な基礎や軸組の構成、また屋根構成や壁の断熱など、一つ一つ地道に学びつつそれを理解し組み上げていくことができているか、隅々まで考え抜く癖をつけて欲しい。そのことが今後建築を設計していく際に良いブレーキにもアクセルにもなるだろう。個々の作品に関しては講評時に述べた通りであるからここではあえて書かない。ある程度仕方のないことではあるが、まだ「好み」が全面に出てしまい与条件を客体化しきれていないケースが多かったように思う。つまり私小説どまりということだ。昨年も書いたが「何をしたいか」も大切だが、実社会ではクライアントや周辺環境から、求められる何かを見極め、客観化し建築にするというリアルが求められる。今後の皆の成長が楽しみである。