​卒業設計

名もなき空間

粕谷研究室 田中 亮

自然界の空間には機能はなく、無機能でありながら、その空間が人々に豊さを与える要素になるのではないかと考えた。本設計はこれらの自然界に存在する空間や人々が感じることを自然界の法則であるフラクタルの考えを利用したユニットを組み合わせて表現し、そこにできる空間の多様性と豊かさを模索する。

​総評 粕谷 淳司

木々が生い茂る森、洞窟内部の大空間、川によって削られた岩の隙間など、単一要素によって形成された自然界の空間が持つ力に魅了された作者が、人々にそのような力を感じさせる空間を建築的要素によって作り出すことを目指した作品である。敷地は東京の上野公園内にある不忍池が設定され、その上に、正三角錐の各辺を基準とした三次曲面のユニットが連なり、木漏れ日のような光が降り注ぐ空間が形成されている。蓮の葉が浮かんだ池に映る姿は幻想的でもある。機能を超越し、ただ純粋に人の心を動かす空間を探求することは建築に向かう本質的衝動であり、この作品では巨大な模型と多くのドローイングによって、そのことが力強く宣言されている。