​卒業設計

人間が還る場所

柳澤研究室 牧迫 俊希

自然と人間と空間、それらが一体となって一つの世界を作り出すような建築ができないか。人間の独りよがりな愉しみではなく、手つかずの自然が生み出す旋律の中にそっと入り込みそれらを受けとめて混じわっていく。その循環の中に入った時、人間も空間も空気に溶けて一つの世界を作り出していくだろう。本計画では山という一つの建築を訪れた人がそれぞれ手探りに味わうことで、人間が自然と同じ現象に還ってゆける空間を提案する。

​総評 柳澤 潤

「人間の還る場所」と題して、横須賀にある一つの小山を“建築” と捉え、その建築に様々な空間を忍ばせ、その山を楽しむというよりは、山全体の在り方を問い直すような作品である。一見とても個人的な視点でのみ語られているようにも映り、誤解を生みやすいアプローチにあえてチャレンジしている。しかしながら自然やそこにある場に対しての丁寧な読解や解釈は卓越した審美眼によるものである。この作品を通して見えてくるのは簡単な“もののかたち” ではなく、もう少し社会全体を見つめる“眼差し” や“仕組み” のようなものに私には映った。ここ数年このような内省的なアプローチを見ることがなかったが、牧迫君の独特な建築の捉え方がストレートに表現された清々しい作品となった。