建築・都市再生デザインコース

建築再生デザインスタジオ

​授業概要

この授業では、歴史的建築物の保存と再生・利活用をテーマとした設計演習を行う。2019 年度は横須賀、上町(うわまち)商店街に残る昭和初期の看板建築、旧寺坂靴店を対象とした。第1課題では対象建物を実測調査し、平面・断面・立面図といった基本図面を作成した。第2課題では調査の経験を踏まえて、今日の上町商店街に求められるプログラムを考え、旧寺坂靴店のレスタウロ(再生・利活用)を計画した。

​課題説明

旧寺坂靴店は1932(昭和7)年に建てられた、木造3 階建ての看板建築である。看板建築とは、ファサード(建物正面)に洋風の意匠を凝らしながらも、内部は和風の形式をもった町屋(店舗兼用住宅)のことである。銅板こはぜ張りの外壁、左右対称の上げ下げ窓、1階店舗内部の格天井やショーケースには、往時の華やかな雰囲気を留めている。横須賀中央駅前から続く平坂の端に建つ旧寺坂靴店は、横須賀の歴史を象徴する存在である。

​作品

総評 黒田 泰介

今年度は対象建物の実測調査と図面・敷地模型の作成を通して、旧寺坂靴店の建築的な特徴を総合的に把握した上で再生計画を考えました。小林歩未さんの作品「Terasa Cafe 親子のブックカフェ」は、1階に書架を兼ねた大階段を挿入しました。建物背後の既存擁壁を室内に露出さつつ、スキップフロアを使った立体的な構成を提案しています。田中将太君の「GALLERYCAFÉ 異間」は、木造の建物内部にRC 造の構造体を大胆に配置して、ギャップや異なりを強調します。2,3階は吹き抜けにして古民家の屋根構造を見せ、美術作品の展示にふさわしい大空間を設けています。

都市再生デザインスタジオ

​授業概要

政治、経済、文化といった多様な活動が複層する極めて複雑なシステムである都市のデザインには、かつてのようなトップダウン型の都市計画ではない、様々な検証を重ねながら時間をかけて未来のあるべき都市のビジョンを描く方法が求められている。「都市再生デザインスタジオ」では対象とする都市エリアが抱える問題や潜在する資源を自身で見つけ出して課題設定を行い、“モノ” と“コト” を含む広義のデザインを通して独自の提案を行うことを目指す。

​課題説明

近年、都市デザインやまちづくりの分野では、長期スパンで都市を変える戦略(strategy) を構築するための、短期スパンでアクションを起こす都市の戦術(tactics)が注目を集めている。今回はそうした背景を踏まえ、“建築未満” スケールの空間の提案を実験的かつ即興的に行う「課題① 小さなアクションで都市を実験する。」とそのデザインから得たフィードバックをもとに恒久的な利活用を想定した空間を提案する「課題② 実験をもとに都市の大きなビジョンを描く」を設定した。

​作品

総評 中津 秀之

今回は単なるリサーチでなく具体的な空間を“つくってみること(prototyping)” を通して都市をより深く理解し、新しいビジョンを形成するデザインスキルの習得を課題の狙いとしていました。学生らのデザインプロセスを眺めると、第一課題の空間のプロトタイピングの段階で戸惑いを感じる学生が多かったように思います。しかし与件から空間を演繹的に導くプロセスだけでなく、先に仮説的な空間の解を与えてからその検証・分析を行うという手続きはデザイン行為の本質的な要素のひとつだと思います。都市スケールの大きな対象だけでなく、住宅やインテリア等の比較的小さなものを対象とするデザインにも今回の経験を活かしてもらえればと願っています。