建築・都市再生デザインコース

建築再生デザインスタジオ

​授業概要

この授業では、歴史的建築物の保存と再生・利活用をテーマとした設計演習を行う。2020 年度は三浦市城山町に建つ、木造古民家を対象とした。今年度はオンライン授業のため実測調査は行わず、基本図面を提供した上で、敷地調査並びに事例研究を進めた。調査の成果を踏まえて、今日の三浦市三崎地区の地域特性を考慮しつつ再生プログラムを考え、レスタウロ(再生・利活用)案を計画していく。

​課題説明

相模三浦氏の居城だった三崎城跡の後背地に建つ木造平屋の対象建物は、かつてはマグロ漁船の船長宅だったと言われている。敷地内から発掘された瓦から、トタン波板張りの寄棟の大屋根は当初、瓦葺きだったと考えられる。北側の庭には石組みの堀井戸が残されている。城跡の麓に広がる三崎の港町は国内有数のマグロ水揚げ量を誇り、海南神社をはじめとする昭和期の街並みが残されている。こうしたコンテクストを踏まえて再生プログラムを考え、古民家の空間を再生していく。

​作品

総評 黒田 泰介 [教授]

今年度は対象建物の建築的特徴と周辺環境の特性を、総合的に把握した上で再生計画を考えた。小山更菜さんの「農家の暮らしを肌で感じる」は、農業体験が出来る宿泊施設の計画。敷地内には庭園とミニ農園が設けられ、建物中央に置かれた吹き抜けの板の間には囲炉裏が切られている。建物の既存小屋組を室内に露出させつつ、宿泊室と水周りを増築したリノベーションを提案している。保坂竜也君の「庭園オフィス」は、まちづくりや空家対策を行うNPO 法人のためのサテライトオフィスの計画。執務室は既存の縁側を取り込んだ大空間とし、新たに幅広の縁側を廻している。また家屋の一部を屋外にして、井戸の上に屋根を架けるなど、建物と庭園との一体化を図っている。

都市再生デザインスタジオ

​授業概要

政治、経済、文化といった多様な活動が複層する極めて複雑なシステムである都市のデザインには、かつてのようなトップダウン型の都市計画ではない、様々な検証を重ねながら時間をかけて未来のあるべき都市のビジョンを描く方法が求められている。「都市再生デザインスタジオ」では対象とする都市エリアが抱える問題や潜在する資源を自身で見つけ出して課題設定を行い、“モノ” と“コト” を含む広義のデザインを通して独自の提案を行うことを目指す。

​課題説明

日本各地でのまちや地域の活性化に向けた様々な事例を見ると、都市の変化の時を遡ればその始まりは一つの小さなアクションに行きつくものである。そこに二つ目、三つ目のアクションが続くことで目に見えない繋がりが生まれ、まちのネットワークが形成されていく。本課題ではそうした都市の変化の最初期に着目し、課題①ではその第一のアクションを具体的な空間のデザインと併せて提案する。続いて課題②では第一のアクションに続く第二のアクションをデザインし、両者のInvisible な関係性とそこから生まれるまちの変化について、そのストーリーを描く。

​作品

総評 酒谷 粋将 [専任講師]

今年度は「Invisible な関係性」というかなり抽象度の高い概念を軸に課題を設定したため、その理解に苦しんだ学生は多かったのではないかと思われる。プログラムと空間の提案を同時に行うという課題はそれだけでもハードルが高く、課題①と課題②の関係性を結ぶというより高次元のデザインの対象に満足のいく解を与えられた、と感じた学生はほとんどいなかったかもしれない。しかし、そうしたデザインの視野を広げることは今後、社会の中でより強く求められることになる。今回の経験を今後の課題や卒業研究、そして卒業後のデザインの活動に活かしてもらえることを期待している。