​卒業設計

​未来に残したいもの

​- 受け入れたい気持ちと守りたい気持ち-

柳澤研究室 馬場 夏月

他人同士で暮らす時、「部屋」では気持ちがOFF になり、「共用部」では気持ちがON になる。気持ちのスイッチを両極端に切り替えてしまうと、とても疲れてしまう。領域を4 段階構成にすることで、住人にも4 段階の気持ちが生まれる。従来の集合住宅の違和感であった「部屋」と「共用部」の距離間に着目し、設計の「部屋」と「リビング」の間に外部になっている「居間(バッファー)」を作る。そうすることで、自分の部屋には入れたくないけど少し入ってきて話したいなと言う、葛藤がこの「居間」で解消される。

​総評 柳澤 潤

「わたし」の内面を通時的に、幼いころから成長した今に至るまでの自省録とでもいうような世界感を詩的に表現した作品である。地上の世界では自分がその時々で感じた街のスケールが描かれ、地下に潜るにつれて自身の内面をえぐるように、その心象風景を空間的に表現することを貫いて、作品とした。今の田端さんの感情、欲望や悩み、そしてかすかな希望がこの表現の中に潜んでいて、社会性や公共性が問われる卒業設計では珍しく、自分の殻をどのように開くのか、を自分自身に問いかけながら丁寧に作り上げた作品となった。卒業設計に取り組みながら、自分とは何か、を改めて空間に置き換えて表現する姿勢とともに美しい作品だと高く評価したい。